講座を受講された方の中には
「棒人間を描く事で、
散らかった思考が、
整理された感じです」
「イラストを描くためのメソッドは、
棒人間は気持ちの整理や
アイデア発想にも使えそうかな?」
といった新たな気づきや
嬉しい感想を持たれる方も多いです。

とうことで今回は
「棒人間を描くことは、
思考を開放することにどう役立つのか?」
というテーマで、
ちょっと語ってみたいと思います。
ちょっと真面目に堅苦しくなく、
普段のみなさんの暮らしや仕事に
すぐに取り入れられる視点として、
気軽に観ていただけたら嬉しいです。

価値や想いを
言葉だけで伝えきれない
もどかしさに悩んでいる人を救う。
「話す」「書く」だけじゃなく
「えがく」を加えた
伝える技術の新常識をつくる。
イラストプレゼン講師
かわしりみつはるです。
棒人間を描くという行為は、
驚くほどシンプルな構造にもかかわらず、
私たちの思考と感情に
深く働きかける力を持っています。

ちょっとだけ意図をもって
線を一本引くだけで、
「今の自分はどう感じているか」
「何を整理したいのか」
という無意識の問いかけが始まる。
そして、
その線にもう一つの線や
丸が加わっていく過程で、
頭の中で渦巻いていた感情や
アイデアが徐々に輪郭を持ち始めるんです。


この“描く”という動作は、
単に手先を動かす作業ではありません。
思考を身体化するプロセスであり、
自分の内面との対話そのものです。


しかも、
棒人間という形が持つ「抽象性」が、
逆に具体的な気づきを呼び起こすという、
ちょっと面白い逆転現象が起こるんです。
たとえば、
棒人間に悲しそうな顔を描くだけで、
「あ、自分、今ちょっと落ち込んでるのかも」
と自覚できたり。
逆に腕を広げたポーズを描けば、
「もっと自由に動きたいって思ってるんだな」
って気づいたりします。
このプロセスを可能にするのが、
棒人間の“余白”です。
描き込みすぎない、
細部にこだわらない、
だからこそ、
想像力が入り込むスペースが生まれます。

そしてその余白が、
私たちの思考や感情に静かに寄り添い、
開放してくれるんです。
しかも、
このシンプルな描く行為が、
思考を“開放”する力を持っているんです。
たとえば、
頭の中がモヤモヤして考えがまとまらないとき、
言葉で説明しようとしても
逆に混乱することってありますよね。

そんなときこそ、
ノートに棒人間を描いてみるんです。
描くことで、
意識のスイッチが切り替わり、
頭の中がふっと軽くなる感覚が訪れます。
この状態、実は脳内で
「デフォルトモードネットワーク(DMN)」という
神経回路が活性化している証拠なんです。
DMNは、意識的な作業をしていない
“ぼーっとしている”ときに活性化し、
脳の中の情報を整理したり、
新しい発想を生んだりしてくれる
思考のネットワーク。
棒人間を「らくがき」するように描くことが、
このDMNを自然と呼び覚まし、
思考の自由な流れを取り戻してくれるんです。
また、感情表現という視点でみると
笑っている顔、怒っている顔、考え込んでいる姿。
シンプルなのに、見る人にしっかり伝わる。
この「曖昧だけど伝わる」表現には、
想像の余白があります。
そしてこの余白こそが、現代に必要とされる
「ネガティブ・ケイパビリティ(不確実性や曖昧さに耐える力)」
を育てるカギなんです。
曖昧さに耐え、結論を急がず、
言葉にならない感情や思考をそのまま受け止める——
そんな余裕が、棒人間を通して自然に育まれていきます。
実際、講座の参加者の中には
「答えはどんな形でもいいんだと安心できた」
「余白があることで対話が生まれた」
と話す方も多いんですよ。
思考を言葉だけで整理しようとすると、
かえって窮屈になってしまうことがあります。
でも、描くことで言葉の枠から解放されて、
自由な発想や気づきが生まれる。
これが「思考を開放する」
ということなんだと思います。
棒人間を描く時間は、
ただの落書きではありません。
DMNを働かせるためのきっかけであり、
感情と向き合うための小さな瞑想であり、
そして「曖昧さ」を許すことで
新しい世界に開かれる扉です。
あなたも、モヤモヤするときや
アイデアが浮かばないとき、
一本の線とひとつの丸から、
思考の旅を始めてみてくださいね。
きっと、言葉では届かなかった“何か”が、
ふわっと浮かび上がってくるはずです。
| アートディレクター&イラスト思考®講師 河尻 光晴 (かわしりみつはる) |
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| 住所 | 愛知県名古屋市 |
|---|---|
| 定休日 | 土・日・祝日 |