日々のやり取りの中で、
「伝えたはずなのに、
なんだかかみ合っていないな…」
と思うこと、ありませんか?

その背景には、
“コンテクスト(文脈)のズレ”
という、
ちょっとしたすれ違いが
隠れていることがあります。
僕自身もその言葉を、
劇作家・平田オリザさんの講義で
初めて聞き、ハッとさせられました。
そこから見えてきた
わかり合うためのコミュニケーションデザインと
「棒人間」というコミュニケーションツールの
可能性について
お話してみたいと思います。
価値や想いを
言葉だけで伝えきれない
もどかしさに悩んでいる人を救う。
「話す」「書く」だけじゃなく
「えがく」を加えた
伝える技術の新常識をつくる。
イラストプレゼン講師
かわしりみつはるです。
教育の現場や仕事のやり取りなどで
人と関わっていると、
「うまく伝わらないなぁ」と
感じることってありますよね。
僕も会社員時代や
講師として活動する中で、
何度もそんな壁に
ぶつかってきましたし、
今でもぶつかります!
一生懸命説明しても
伝わらなかったり
意図とは違う反応が
返ってきたり・・・
それって、
世代間ギャップだけでなく
文化的ギャップ、環境的ギャップ
といった要因の中で
起きていることなんです。
同じ言葉を使っているのに、
解釈や伝わり方が違ってくる・・・
この小さな“かみ合わなさ”の中には、
実は大事なヒントが隠れているんです。
この気づきをくれたのが、
青山学院大学のWSDで行われた
劇作家・平田オリザさんの特別講義でした。
平田さんはこう言っていました。
コミュニケーションの落とし穴は、
“相手も自分と同じように思っていると
思い込むこと”にある。
この「思いこみ」こそが、
コミュニケーションのズレを生む原因なんです。

つまり、“ズレ”とは、
思いこみの結果として起こる現象。
同じ言葉でも、
相手の背景や経験が違えば、
まったく違う意味に受け取られてしまう。
たとえば、
教育の現場で先生が
「これ、わかる?」と優しく声をかけても、
先生は“確認”のつもりでも、
子どもは“試されている”と感じて緊張してしまう。
お互い悪気はないのに、
言葉の背後にある「文脈(コンテクスト)」が違うだけで、
気持ちのすれ違いが起きてしまうんです。

こうした“思いこみ”を減らして、
ズレをやさしくすり合わせていく。
それが
「コミュニケーションデザイン」
という考え方です。
これは話すスキルを磨くというよりも、
関係性や環境を設計することが大事。
たとえば、
子どもが意見を言いやすい座り方にしたり、
保護者が安心して話せる空気をつくったり。
場の雰囲気や位置関係、
声のトーンなど、
そうした“デザイン”が、
伝わる力を支えてくれるんです。
そして僕が実践している
ひとつの方法が、
「棒人間」を使った伝え方です。
たった数本の線と丸で
描ける棒人間を描き、
言葉で説明しても伝わらなかったことが、
絵にして見せるだけで
「ああ、そういうことか!」と理解される。
子どもたちはもちろん、
先生同士や保護者とのミーティングでも、
棒人間を描くだけで場がやわらぎ、
みんなの理解がそろっていきます。

僕が棒人間を描きはじめたのは、
話すのが得意じゃなかったから。
あるとき、
ノートにサッと絵を描いたら、
相手が笑って「これならわかる!」と
言ってくれたんです。
その瞬間、言葉が届かないときに
“絵が橋をかけてくれる”ことを感じました。
それ以来、棒人間は僕にとって
「思いこみをほどくツール」になりました。
世の中は、子どもも大人も、
みんなそれぞれの“コンテクスト”を持っています。
だからこそ、言葉に頼りすぎず、
見て、描いて、感じて、共有することが大切。

棒人間を描くことで、
誤解が減り、笑顔が増える。
「伝わらない人」なんていません。
ただ、その人に合った
“伝わり方”がまだ見つかっていないだけ。
違いを「ズレ」として責めるのではなく、
「発見」として楽しめたら、
コミュニケーションはもっと豊かになるはずです。

これからの人との関りに必要なのは、
「共感」だと思います。
棒人間は、
その“わかり合うデザイン”を支える、
シンプルで温かいツール。
これからもこの小さな
棒人間たちと一緒に、
たくさんの「伝わった!」という
笑顔を見たいと思っています。
<開催日程>
2025年10月26日(日)13:30~16:00
2025年11月 3日(月)19:30~22:00
2025年11月 5日(火)19:30~22:00
※講座の内容は全て同じになります。
| アートディレクター&イラスト思考®講師 河尻 光晴 (かわしりみつはる) |
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| 住所 | 愛知県名古屋市 |
|---|---|
| 定休日 | 土・日・祝日 |