朝井リョウさんの最新作
『イン・ザ・メガチャーチ』が
「本屋大賞2026」を受賞しました。
『イン・ザ・メガチャーチ』が第23回本屋大賞をいただきました。関わってくださった全ての皆様に感謝いたします。ぜひお近くの書店にて手に取ってみてください。https://t.co/nIQL6jWOAf https://t.co/frsV9nwfyF pic.twitter.com/HgwdCXkZq7
— 朝井リョウ (@asai__ryo) April 9, 2026
発売は昨年の夏、
タイトルは知ってたんですが
中々分厚い本だったので
手つかずにしていましたが、
本屋大賞受賞ニュースを機に
一気に読み終えました!
読後感、、、
最悪です・・・
喰らいました。
もう、しばらく立ち上がれないくらい……。
なんとも言えない衝撃、
やるせない想い・・・
そして、
ゾッとする感覚がずっと残る、
すごい読み応えのある
めちゃくちゃ面白い作品でした!!
価値や想いを
言葉だけで伝えきれない
もどかしさに悩んでいる人を救う。
「話す」「書く」だけじゃなく
「えがく」を加えた
伝える技術の新常識をつくる。
イラストプレゼン講師
かわしりみつはるです。
『桐島、部活止めるってよ』や『何者』など
数々の話題作を送り出してきた人気作家
朝井リョウさんの作家15周年作品
『イン・ザ・メガチャーチ』

正直あまり予備知識なしで
真白な状態で読み始めましたが、
もうね、物語の最初に出てくるこの一文が、
僕の心臓をズブりと刺さってきました。
僕と同じ40~50代を生きる方なら、
この言葉の重みや響き、
ちょっと伝わるんじゃないでしょうか。
僕自身、これまでの歩みの中で、
「もっとできることがあったはずなのに」
「なぜあの時、目を逸らしてしまったのか」という、
自分が避けてきたこと、
向き合ってこなかったことの重さを、
痛いほど突きつけられた経験があります。
だからこそ、
この本の主人公の一人、久保田の
「自分と向き合わず、大切なものから目を背け続けてきた」
ゆえの苦悩が、他人事とは思えなくて。
共感しかありませんでした。
で、この小説では、
音楽業界、芸能界を舞台にしながら、
「推し活」文化・マーケティングの光と影を
生々しく描き出しています。
物語を仕掛ける側……つまり運営側は、
緻密に「熱狂」をデザインしていきます。
ファンが何を求め、どんな言葉を届ければ心が動き、
人生の救いを感じてもらえるのか。
プロとして徹底的に、
他者の情熱を形にしていくプロセスは、
ビジネスの視点としても非常に学びが多く、
同時に深く考えさせられるものがありました。

一方で、
その物語に導かれていく
側の心理描写も目が離せません。
僕自身も、かつて10数年前に
地元アイドルの“追っかけ”を
やってた経験もあり。
(現在は卒業してますw)
最近では
「推し活専用LINEスタンプ」を作ったりと、
この熱いコミュニケーション文化は、
元々から興味はあったジャンルです。
物語に登場する「推し活」の渦中にいる人たちは
心の底では「大丈夫かな?」という微かな後ろめたさや、
薄氷を踏むような不安を抱えたりもしてる。
でも、
一度その「与えられた物語」に
身を委ねてしまうと
自分の見たい景色だけに視野を狭めてしまい、
その不安を打ち消そうとして、
行動がさらに加速し、
エスカレートしていく……。
そのプロセスは、一瞬の光はあるけれど、
悲しくもあり、怖ろしくもある。
そんな様子を、読み始めでは
どこか別世界の話を眺めるような
客観的な視点で読み始めましたが、
「仕掛ける側」が抱える
プロとしての自負と葛藤と冷徹さ。
そして
「踊らされる側」の
熱狂の先ある共感や幸福感
そして、切実な欠落。
すべての登場人物の心の動きが、
あまりにもリアルで、
ページを進めるうちに、
いつの間にか
中年男性だけでなく
女子大生にも、30代独身女性にも
全ての登場人物に共感しまくってて
身につまされる想いの大洪水!!
僕自身もメガチャーチという
巨大な渦の中に没入してました(笑)

物語は3つの視点から
語られていくんだけど、
ラストにむけてそれぞれの
思惑や行動がどんどん
破滅的に絡み合っていきます。
久保田が“自分らしさを取り戻そうと”
仕事として懸命に回していた
「熱狂のシステム」が、
めぐりめぐって、
彼の人生の最も大切な部分を
侵食していく。
その結末を迎えたとき、
もうね・・・
切なすぎて胸が締め付けられましたよ。

神がいないこの国で、
人を操るには物語を使うのが一番いい
『イン・ザ・メガチャージ』の
帯やポップに並ぶこの強烈な言葉は、
現代を生きる僕に
「お前はちゃんと自分の足で立っているか?」と、
痛烈に問いかけてくるようでした。
人は物語があるからこそ、
明日を生きるエネルギーを得て、
困難を乗り越えることができます。
僕も講座やワークショップでも
「物語」「ストーリー」
という言葉を良く使っています。
誰かの物語に共感し、熱狂し、
そこに救いを求めること。
それは決して弱いことでも、
間違ったことでもありません。
むしろ、
そうした外側の物語に心を震わせる
豊かさがあるからこそ、
僕たちの人生は彩られるのだと思います。
ただ、
その「心地よい一体感」に
身を委ねるだけで終わってしまうと、
いつの間にか自分の人生のハンドルを
誰かに渡しているのと同じになってしまう。
他者が用意したまばゆい物語を楽しみ、
そこから力をもらいつつも、
最後には、自分自身の物語を、
自分の手で紡いでいく。
そのバランスが、何より大切なんだと思うんです。
「やってこなかったこと」が
還ってくるのが人生だとしたら。
今この瞬間から、自分自身と向き合って、
自分だけの物語を丁寧に紡いでいきたい。
読後の、“最悪な気分”の中w
僕はそんなふうに強く思いました。

| アートディレクター&イラスト思考®講師 河尻 光晴 (かわしりみつはる) |
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| 住所 | 愛知県名古屋市 |
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| 定休日 | 土・日・祝日 |