今週、中日新聞の文化欄をみて
その存在を知った
詩人であるお父さんと
画家である息子さんがタッグを組んだ
ポルトガルの絵本『戦争は、』
英語や韓国語など21言語に翻訳されており、
世界中に大きなインパクトを与えているという記事を読んで
ソッコーで取り寄せました。
価値や想いを
言葉だけで伝えきれない
もどかしさに悩んでいる人を救う。
「話す」「書く」だけじゃなく
「えがく」を加えた
伝える技術の新常識をつくる。
イラストプレゼン講師
かわしりみつはるです。
戦争は、日常をずたずたにする。
戦争は、何も聞かない、何も見ない、何も感じない。
戦争は、何も知らない人たちの柔らかな夢に入りこむ。
戦争は、物語を語れたこともない。
戦争は、凶悪な顔をいくつも持つ。
戦争は、沈黙だ。
この絵本は、文字通り「戦争は、・・・」という
言葉で始まる短い文章がずらりと並んでいて、
あえて暖色をほとんど使わない
モノクロやセピア色を中心にしたイラストが
重苦しい空気をさらに際立たせているのが特徴です。
個人的には、大仰な警告ではなく、
“淡々と描いているからこそ怖い”
という感覚が強く残りました。
気づかぬうちに日常がずたずたにされる恐怖や、
独裁者の顔がはっきり描かれない
(誰が戦争の本当の元凶か?わからない)
人間の中に巣食う闇が
不気味にじわじわと迫ってきます。
もともとこの絵本が
ポルトガルで刊行されたのは2018年。
でも、その後も
ロシアによるウクライナ侵略や
パレスチナ自治区ガザでの戦争は続いています。
そんな現在の世界に想いを重ねながら
ページをめくるたび、
忍び寄る「戦争」の影が、背筋がゾクッとするんですよね。
特に、クモやムカデ、ヘビのようなものが
暗示的に出てくる場面は、
シンプルだけど言葉に頼らなくても強烈な
“絵の力”を実感させられます。
人間が勝手にメタファーしてしまった
クモさんたちにはちょっと気の毒なんだけど・・・
ここにこそ、イメージの説得力と
絵と言葉の融合の真髄があるんじゃないかと思うんです。
父であるジョゼ・ジョルジェ・レトリアさんは
ポルトガルを代表する文学者。
母国で独裁政権に抗った経験もあり、
綴られる言葉には重みがあります。
そして、
息子の画家のアンドレ・レトリアさんが描くイラストには、
暖色をほとんど排しているからこそ際立つ
“不快感”“嫌な感じ”が詰まっています。
虫たちが動き回る場面や、
最後に沈黙のような情景を残して終わる部分などは、
「あきらめ」「服従」「盲信」「連鎖」という
不安をかき立ててきます。
「人間は同じ過ちを繰り返すのか」
そんな問いが、読後ずっと頭から離れません。
この絵本が刊行されたときには
「戦火が収まっていますように」
と願われていたはず
でも、現実の世界はさらに混迷を深めています。
各国のリーダーにはもちろん、
あらゆる立場の人に手に取ってもらいたい一冊。
戦争の本質を痛烈に突きつけられるからこそ、
僕たちは「沈黙」しないで、
考え続ける必要があるんですよね!
今日は、僕自身が「心に深く突き刺さる表現の力」
に圧倒された絵本『戦争は、』をご紹介しました。
興味を持っていただけた方は、
是非、手に取っていただけたら嬉しいです。
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アートディレクター&イラスト思考®講師 河尻 光晴 (かわしりみつはる) |
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住所 | 愛知県名古屋市 |
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定休日 | 土・日・祝日 |